ガチャ、研究室に合鍵を使って入ると内側から部屋の鍵を閉めなおした。また、誰かに入って来られてはたまらない。時間を惜しむようにすばやく例の偽造カードを取り出し、個室前のカードセンサーに差し込んだ。
ノブを静かに回すとカチャという軽い音とともに、個室のドアが開いた。ついに奴の牙城に侵入することができたな、そんなことを思いながら眼鏡の中央を中指で押し上げ、部屋の中にゆっくりと足を踏み入れた。
研究資料や書物でいっぱいの本棚がいくつか立ち並び、その奥にデスクが見えた。パソコンはその上にあった。
しかし、永澤らのデータがあると踏んだ外付けのハードディスクは見当たらない。DVDか、CDか…柴崎は地味なゼミ生山本の言葉を思い出した。「本棚は大事なデータや研究論文があるから、絶対に触らないように言われています」
柴崎は本棚に近づき、書物の間を丁寧に調べ始めた。



