2008年01月23日

恥づる 21:大林の個室

その日も同じように永澤は大林の研究室に行き、彼の研究の手伝いをしていた。暑い夏の日の隙間をくぐったかのように、その日は珍しく雨が降っていた。蝉の騒がしい鳴き声もおさまり物静かな日だった。永澤は大林の研究データを熱心にまとめ、自分の手伝ったことが恩師の研究の成果につながるという純粋な成就感を感じていた。
時間はいつしか夜になり、気がつくと辺りはすっかり暗くなっていた。外はまだ雨がしとしとと降り続いていた。
「先生、終わったので私はそろそろ帰りますが…」
彼女は、隣の個室にこもって仕事をしていた大林の顔色をうかがうように話しかけた。
「あー、ありがとう。ちょっと休みなさい。コーヒーを入れるから飲んでいきなさい。」
大林は優しく声をかけた。永澤は尊敬している大林の部屋に入り、コーヒーを飲みながら将来の夢をしばし語った。大林は優しい眼差しで彼女の話を聞いていた。
「ありがとうございました。では、そろそろ帰ります。」
彼女がそう言って席を立った時には、かなり夜が更けていた。
タグ:個室
posted by 志波純一 at 00:09| Comment(0) | TrackBack(0) | hanged1 恥づる (21) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする